テープ起こしの起こし方の種類と特徴と使い分け方

文字起こし
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文字起こしというと、音声を聞いて文字にしていく作業というのはわかるけど、実際聞こえたきた音をすべて文字にするの?それともわかりやすいように整えてしまっていいの?と作業をしてみると悩むと思います。

文字の起こし方にはいくつか種類があって、主に「素起こし」「ケバ取り」「整文」の3つに分けることができます。

今回はこの3つの起こし方の違いと、どのように使い分けたらいいのかを解説していきたいと思います。

僕と一緒に見ていこう!

文字起こしの種類と使い分け

文字起こしには、「素起こし」「ケバ取り」「整文」の3つの起こし方があるとお伝えしましたが、文字だけだとよくわかりませんね。具体例を示しながら、1つ1つご説明していきます。

素起こしとは?

文字起こしの型のまず1つ目は、「素起こし(すおこし)」です。

素は「もと」とも読みますが、もとのまま起こすという意味で、発言を一言一句漏らさず起こすというものになります。

例を見てみましょう。

えー、今年の夏は大分暑い日が続きましたけどもまあ、ようやく夏も終わり、ちょっと肌寒い日が出てまいりました。過ごしやすくていいですよね、これからの季節はやっぱり。あー、皆さんは季節の変化の、変化で体調を崩されてませんでしょうか。

上のような文が素起こしになります。別名、逐語(ちくご)起こしともいいますが、特徴としては以下の2点になります。

・「えー」や「あー」、「まあ、」「~ね、」などの口ぐせまで聞こえたとおり文字にする。
・「変化の、変化で」のように言いなおしているところもそのまま起こしている。

聞こえた音をそのまま起こすのが特徴です。裁判など、発言の微妙なニュアンスまで表現する必要があるものに使われます。

ケバ取りとは?

続いての起こし方は、「ケバ取り」になります。まずは見てもらったほうが早いと思いますので、先ほどと同じ文章で素起こしとケバ取りしたものを比較してみましょう。

えー、今年の夏は大分暑い日が続きましたけどもね、まあ、ようやく夏も終わり、ちょっと肌寒い日が出てまいりました。過ごしやすくていいですよね、これからの季節はやっぱり。あー、皆さんは季節の変化の、変化で体調を崩されてませんでしょうか。(素起こし)

今年の夏は大分暑い日が続きましたけども、ようやく夏も終わり、ちょっと肌寒い日が出てまいりました。過ごしやすくていいですよね、これからの季節はやっぱり。皆さんは季節の変化で体調を崩されてませんでしょうか。(ケバ取り)

素起こしと比べると少しすっきりした気がしませんか?素起こしでは「えー」「あー」や間違えて言い直した部分が整理されています。話の内容と直接関係ない部分を削ったものがケバ取りになります。

発言者の口調や雰囲気は残したいけれども、口ぐせまで起こしてしますと読みにくいという場合、インタビューや対談、議会などでよく使われる起こし方です。

整文とは?

3つ目の起こし方は「整文」です。

これは先ほどの口ぐせや言いなおしを削ったケバ取りから、さらにきっちりとした文章に整える起こし方です。

今度は先ほどのケバ取りと整文バージョンを比較してみましょう。

今年の夏は大分暑い日が続きましたけども、ようやく夏も終わり、ちょっと肌寒い日が出てまいりました。過ごしやすくていいですよね、これからの季節はやっぱり。皆さんは季節の変化で体調を崩されてませんでしょうか。(ケバ取り)

今年の夏は大分暑い日が続きましたけれども、ようやく夏も終わり、ちょっと肌寒い日が出てまいりました。これからの季節はやっぱり過ごしやすくていいですよね。皆さんは季節の変化で体調を崩されていませんでしょうか。(整文)

少し文章が固めになったのがわかりましたでしょうか。

・正しい形に直す
「けども」→「けれども」
・文章の入れかえ(倒置といいます)
「過ごしやすくていいですよね、これからの季節はやっぱり」→「これからの季節はやっぱり過ごしやすくていいですよね」
・い抜き言葉の修正
「崩されてませんでしょうか」→「崩されてませんでしょうか」に修正されています。

以上のように、発言者の口調やくせは生かさず、より文法的に正しい形に直しています。

整文には強弱があって、強めの整文、弱め(軽め)の整文と言うこともありますが、先ほどの文章を軽めの整文とすると、さらに

「ちょっと」を「少し」に直したり、「やっぱり」を「やはり」にしたり、より固く見える文章にすることもあり、強めに整文することでかっちりとした印象になりmさう。

整文は一般の会議に使われることが多いです。議事録を公開することもあるので、整った文章が好まれます。

起こす上で大切なポイントは?

3つ起こし方を紹介しましたが、実際のところ、作業する人や依頼者によって3つの起こし方の区分があいまいな部分があります。

素起こしといっていても、すべての口ぐせまで起こそうとするとものすごく読みにくくなるため、多少は削る場合もあります。ケバ取りといっても多少の整文を含んだり、整文といっても、先ほどの弱め・強めの度合いが人によって違ったりします。

作業をするときは委託元の会社ごとにケバ取りといえばこうとか、基準があると思いますので、まずはそれを理解することが大事です。

そこからさらに、どのように起こすかはお客さんや会議ごとに異なります。なので、3つの起こし方はざっくりと覚えておいて、実際の業務では、どのように起こしたらいいか事前に確認すること、前回の議事録がある場合はそれを参考に、前回はどのような起こし方をしているのか確認してから作業に取りかかることが大切です。

前回議事録がある場合は、ワードの検索機能を使って、「まあ」「あー」「ですね、」などが入力されているか、整文なら「やっぱり」が「やはり」になっているかなど検索してみて、ここはこうするという基準を決めてから作業に取りかかるほうが迷いなく打ち進めることができます。

例えばインタビュー(ケバ取りと言われた場合)でわたしが事前に調べるのは、


・まあ、あー、えー、えっと、うーんと、~ですね、~ですよ、文の途中の~ですね、→入力しているかとその回数。一度打ってみて、回数はあまり多すぎたり少なすぎたりしないように調節する。
・けど、けども、けれど、
→言ったまま生かすか、けどに統一するか、けれどもで統一するか。
・あまり、あんまり
→言ったままか「あまり」に統一するか。
・ほんと、ほんとう
→言ったままか「ほんとう」に統一するか。
・やっぱり、やはり
→言ったままか「やはり」に統一するか。
・~してます、してる
→「~しています」「~している」に直すか
・謝りの意味をもたない「すいません」
→削るのか生かすのか、生かすならどの程度か。
・肯定の意味をもたない「はい」
→削るのか生かすのか、生かすならどの程度か。
・言い直し
→削るのか生かすのか
・倒置
→直すのかそのままか。

など、思いつくだけでもこれだけあります。また、依頼主によっては、「ほんと」は「ほんとう」にしてくださいなど個別に指定している場合もあるので、その場合はそれを守ります。

今回の3つの起こし方とはまた別の話になりますが、それぞれの言葉の表記に漢字を使うかひらがなを使うか、送り仮名はどうするかという問題があります。それは表記を統一するための辞書があり、それにしたがいます。
依頼主が個別にここは漢字にしてほしいという要望があれば、そちらを優先します。

ほかにも数字は2桁以上を半角にしたり、数字を区切るコンマは半角だったり、テープ起こしの会社やお客さんごとに決められたルールがあるので、それにしたがいます。

まとめ

今回は3つの起こし方と作業する上でのポイントを紹介しました。

・素起こし、ケバ取り、整文の3つの起こし方がある。
・3つの境界線は作業するひとや文字起こしの会社、会議ごとにあいまいな部分もあり、打つ前には個別に確認、下調べが必要なことをお伝えしました。

実際に作業をすると、こういうときはどうするんだろうと迷う場面がたくさん出てくると思います。

そういうときはお客さん指定のルールはないか、前回はどうしているか、それで答えが見つけられなければ、3つの起こし方に立ち返ってこういうときはこうだろうというあたりをつけていきましょう。

最終的にフィードバックをもらって、こうすればよかったんだと振り返ることで、基本的な起こし方のルールや、細かな部分での自分なりの判断基準やコツがつかめてきます。

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